【MPメルマガ 第255回】生産性について考えてみる その3 ~生産性が高くなるとどうなるか?~(2018年7月18日配信分)
こんにちは、MPCの中の人です。
連日猛暑が続いております。今年の夏は本気を出すのが早いようです。
暑さに負けずに頑張りましょう!
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岡崎:「あ~~~。暑い…」
中の人:「う~~。暑い…」
内山:「二人とも暑そうな声を出さないで…。本当に暑くなるから」
岡崎:「だってしょうがないだろ。連日37度とか正気の沙汰じゃないよ」
中の人:「そうですよ。気温が体温を超えるのはルール違反です」
内山:「ルールって何のルールですか?」
【生産性上げるとどうなる?】
内山:「このまま放置しておくと二人とも暑さを言い訳にして話を進めようとしないと思うので、早速今週の本題に入りますよ」
岡崎:「うい~」
内山:「今週は先週棚上げになっていた『生産性を上げるとどうなるのか?』って話ですね」
中の人:「暑さで脳みそがやられているので、記憶が定かではありませんが、そうだった気がします…」
内山:「”気がします…”って…。まあ、いいや。で、生産性が上がるとどんな良いことがあるんですか?」
岡崎:「どうなるって…。『会社も従業員さんも儲かる』」
中の人:「しかも、『楽をして』」
内山:「いや、それは何となく分かってるんですよ。知りたいのはどうしてそうなるのかってことでして…」
【会社が儲かる理屈】
岡崎:「じゃあ、まず生産性が上がると『どうして会社が儲かるのか?』って話をしていこう」
内山:「はい」
岡崎:「理屈自体はすごくシンプルだよ。例えば、1人当たりの生産性が600万円の会社があったとする」
内山:「1人で600万円の限界利益を稼ぐと考えればいいですよね?」
岡崎:「そう。で、この会社の人件費が1人当たり400万円だったとすると、人件費支払い後の利益は200万円になるよな?」
内山:「600万円-400万円=200万円ですね」
岡崎:「じゃあ、この会社の生産性が1,000万円まで上がるとどうなるか?ちなみに給与は今と同じとします」
内山:「1,000万円-400万円=600万円になります」
岡崎:「はい。儲かった」
内山:「ん?これだけ??」
岡崎:「うん。これだけの理屈。あとは、人件費支払い後の利益からその他の固定費を引くだけの話」
内山:「シンプルですね」
岡崎:「だから最初に理屈はシンプルだって言ったでしょ」
【従業員さんが儲かる理屈】
内山:「会社が儲かる理屈は分かりました。じゃあ、従業員さんが儲かる理屈は?」
中の人:「これも単純ですよ。儲かった分の利益を従業員さんに分配出来るってだけの話です。先ほどの例で言うと、400万円分は昇給の原資に出来るって話です」
内山:「ああ、そうか…。確かに400万円までは従業員さんの給与に回しても経営には問題はないですね」
中の人:「実際賃上げするかどうかは経営者さんの判断次第ですけどね。少なくとも『賃上げできる』って状態にはなるわけです」
内山:「これも単純な話だった」
中の人:「だから、賃上げする際には生産性っていうのが重要な要素になってくるわけです」
内山:「なるほど~。ちなみに、『これぐらいまでは賃金に回しても大丈夫』って額ってどうやって判断したらいいんですか?『400万円儲かったから400万円全部給与に回すぞ!』っていうのもどんぶり勘定過ぎるので、もっとちゃんとしたやり方があるなら教えてもらいたいんですけど」
中の人:「そういう場合は”労働分配率”って数字を使うと良いです」
内山:「労働分配率?何ですかそれ??」
中の人:「『限界利益に占める人件費の割合』のことです。計算は人件費÷限界利益という計算をします。例えば限界利益600万円、人件費400万円なら、労働分配率は400万円÷600万円=66%です。で、人件費に充てられる額を決めるときはこの労働分配率を限界利益の額に掛けて決めます。例えば、限界利益が1,000万円になったら人件費は1,000万円×66%=660万円まで出せるという具合です」
内山:「ほう。そうやって人件費を決めるんですね」
中の人:「そうです。こうやって労働分配率を使って人件費を決めれば、今の損益構造に大きな影響を与えずに給与水準を決めることが出来るので安心です」
内山:「ちなみに、労働分配率ってどれぐらいが適正なんですか?」
中の人:「そうですね~。大体40%~60%ぐらいでしょうか?サービス業なんかだともっと高かったりしますけど。こうやって労働分配率使って給与水準決めておけば、会社と従業員さんで適正に利益を分け合えるのでお勧めです」
【楽をして儲ける理屈】
内山:「あと、『楽して儲ける』っていうのはどういう理屈ですか?」
岡崎:「生産性を高めれば今よりも少ない労力で成果が出せるようになるから仕事が楽になるだろ?」
内山:「えっと、もうちょっと具体的に言うと…」
岡崎:「例えば1時間当りの生産性が5,000円の人がいたとするだろ?この人が月に100万円稼ぎたいって思ったら月に200時間働かないといけない。20日稼働なら毎日2時間残業するペースだな」
内山:「はい」
岡崎:「この人が生産性を8,000円まで上げたら月の労働時間は125時間で済む。20日稼働なら6時間ちょっと働けばいいことになる」
内山:「おお!以前話に出てたスタートトゥデイみたいになれる」
岡崎:「楽して儲けるっていうのはこういうこと」
【生産性を上げるときに気を付けて欲しいこと】
内山:「生産性を上げるっていいこといっぱいですね。僕も早速何か取り組んでみよ」
中の人:「そうですね。是非。ただ一つ気を付けて欲しいことがあります」
内山:「気を付けて欲しいこと?」
中の人:「はい。生産性を上げようとするのはいいですが、力技で上げるのは止めて下さいね。それやると従業員さんに負担が掛かるだけなので」
内山:「力技ってどういうことですか?」
岡崎:「仕事の仕組みを変えようとせずにただ『効率的に仕事をしろ!』『残業するな!』『無駄話するな』って言うだけの取り組みのこと。こんなことやられても従業員の立場からしたら苦痛なだけだから」
内山:「そういえばそんな状態を皮肉ったCMありましたね…」
中の人:「だから、生産性を上げたいならムダな仕事を廃止してしまうとか、自動化してしまうとか、やり方を見直すとかそういうことをやらないといけないんです。個人の”気構え””意識づけ”だけで何とかしようとするのは良くないです」
内山:「うーん。簡単では無さそうですね」
岡崎:「確かに簡単ではないな。でも、小さなことからでもいいからコツコツやることが大切だよ」