【MPメルマガ第321回】<物流編>世界を変えた魔法の箱 その7 ~大量輸送・グローバル化~(2019年12月11日配信分)

こんにちは、MPCの中の人です。

前回も少し予告しましたが、今回でコンテナ編は終了です。
次回以降どうするのかは後半でお伝えします。

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岡崎:「コンテナ編は今回で終了?」

中の人:「はい。そろそろ強引にでも終わらせておかないと今後の計画に支障が出るので…」

内山:「じゃあ、早速始めましょうか」

中の人:「その前に1つお詫びと訂正です。前回、荷物の量を数えるためのTEUという単位について『1TEU=40フィートコンテナ一本分』と説明をしましたが、正しくは『1TEU=20フィートコンテナ1本分』です。申し訳ありません」

【大量輸送の始まり】

岡崎:「前回はコンテナの規格化の話までだったな」

中の人:「前回話したように港湾の整備とコンテナの規格化が終わると、世界は大量輸送の時代に入り始めます」

内山:「今のような大型のコンテナ船が使われ始めるわけですね?」

中の人:「そうです。コンテナが使われ始めたころ、大体1960年代のコンテナ船というのは全長が約140m~180mぐらいの大きさだったようですが、これが1970年代に入ると、全長約270mになります」

内山:「いきなり大型化しますね」

中の人:「そうですね。まあ、海運各社が競った結果一気に大型化が進んだって感じでしょうね」

岡崎:「大型船を作る技術はそもそもあるわけだから、やるとなったら早いだろうな」

中の人:「1970年代からはコンテナ船のサイズを表す単位として前回説明したTEUという単位が使われるようになるわけですが、70年代のコンテナ船は大体3,000TEUから4,000TEUのコンテナを運べたようです」

岡崎:「1TEUが20フィートコンテナ1本だから、4,000TEUだと20フィートコンテナ4,000本だな」

内山:「60年代のコンテナ船はどれくらい積めたんですかね?」

中の人:「1960年代半ばで700TEUという話を聞いたことがあるので、大体それくらいじゃないですか?」

岡崎:「そうなると、大型化することで結構規模の経済性が効いてくるな」

中の人:「そうですね。船の大きさが2倍になっても建造費が2倍掛かるわけじゃないですし」

内山:「あの…。何で船の大きさが2倍になっても建造費は2倍にならないんですか?」

中の人:「だって、体積が2倍になっても表面積は2倍にはならないですよね?船なんて体積大きくても中はほとんど空洞だから単純に考えて費用は体積ではなくて表面積に比例するはずですよね?だから大きさ2倍でも費用は2倍にはならないって言ったんですけど…」

岡崎:「まあ、実際は内部の構造物とか材料の種類の問題とかもあるから、単純には計算できないだろうけど、いずれにせよ大きさが2倍になったからって建造費は2倍にはならない。もしそうだったら船の大型化なんて起きて無いからな」

内山:「なるほど」

【超巨大船の登場】

中の人:「さて、70年代にコンテナ船は4,000TEUまで大型化するわけですが、当初はここで大型化は打ち止めだと思われていました」

内山:「何でですか?」

中の人:「これ以上大きくするとパナマ運河を通過出来ないんですよ。ちなみに、パナマ運河を通過できる船の最大の大きさをパナマックスと言って船の大きさを決める指標になっています」

内山:「パナマ運河を通過できないと何か問題があるんですか?」

岡崎:「太平洋から大西洋に行くときにパナマ運河が通れないと、南米大陸を迂回することになって遠回りになるだろ?」

内山:「あー、そうか」

中の人:「ところが、このパナマ運河問題をものともせずコンテナ船の大型化は進みました」

内山:「どうやって?」

中の人:「『パナマ運河が通れないなら、船を使わずにアメリカ横断鉄道を使って太平洋と大西洋を結べばいいじゃない』とか『パナマ運河通れないなら、太平洋専用船とか大西洋専用船にしちゃえばいいじゃない』といった発想をする人たちがいたんですよ。で、結果的にパナマックスを超えるサイズの船が80年代末から作られ始めて、2000年代には10,000TEUを超える超大型船が当たり前に運航されるようになりました」

岡崎:「ちなみに今世界最大のコンテナ船ってどれくらいの大きさだっけ?」

中の人:「20,000TEU超えるクラスが最大ですね。このサイズだと、長さは400mぐらいになります。新幹線のホームと同じぐらいです」

内山:「初期のころから比べたら20倍か…。すごいな」

中の人:「これはコンテナ船に限った話ではないですが、技術の進歩とともに船の省エネ化や省人化も進んでいます。だから、コンテナの輸送費は初期のころから比べたらはるかに安くなっているはずです。具体的な金額については調べ切れていないので、申し訳ないですけど…」

【コンテナが世界を変えることが出来たのはなぜか?】

内山:「こうやって見ていくと、コンテナを中心としてあらゆるものが変わったんですね」

中の人:「そうですね。コンテナが世界を変えたっていうと、コンテナそのものの発明だけが注目されますけど、実はそうじゃなくて、コンテナに合わせて船や鉄道、インフラ、人などの多くのものが発明・改良されて、システム全体が出来上がったからこそここまで出来たんです。以前19世紀にもコンテナはあったという話をしましたけど、19世紀と現代の違いはシステムを作り上げることが出来たかどうかですね」

岡崎:「よく考えたら、コンテナによる物流革命ってインターネットと似ているな」

内山:「どういうことです?」

岡崎:「インターネットもコンピューター間の通信方法だけじゃなくて、通信を行うデバイス、通信インフラ、人、ソフトウェアなどの全体をシステムとして作り上げることが出来たからここまで世界を変えたわけだろ?」

内山:「なるほど。確かにそうやって考えると似ていますね」

中の人:「よく、イノベーションや革命というのは何か単体の発明だけではだめで、システム全体を変えてこそ成功するって言われますけど、コンテナもまさにそうですね」

内山:「今回のシリーズでコンテナに関する見かたが変わりました」

岡崎:「コンテナに敬意を抱くようになっただろ?」

内山:「はい。これからは道行くコンテナに敬意を持って接することにします」

岡崎:「で、話は変わるけど来週からはどうするんだ?」

中の人:「そのことについてですけど、来週は今後のメルマガの方針について説明をしようと思います。あと、年内のメルマガは来週で最後にしようと思っています。色々とリニューアルの準備もあるので」