【MPメルマガ 第31回】<ロジカルシンキング編>第2部 問題解決編 目的と手段 ~「何のためにそれをやるんですか?」~(2015年10月14日配信分)

こんにちは、MPCの外山です。
今回のロジシン編ですが、軽い気持ちで始めたのですが、予想以上に好評で驚いております。毎週お付き合い下さり、ありがとうございます。

今回からのテーマ「目的と手段」は、ロジシン編の中でもかなり重要なテーマです。(というかこれが書きたいがために、このシリーズを始めたっていうところもあります。)

今回は重要なテーマなので、いつも以上に長くなるかもしれません。ご了承ください。

では、始めます。

【「売上」は何のために確保するのか?】

多くの会社さんで課題になっている「売上高の確保」。よく聞く話です。さて、ここでひとつ考えてみたいことがあります。

「何のために売上は確保するの?」
この答えはいくつか考えられると思いますが、一番オーソドックスな答えは…

「利益を確保するため」

です。

言い換えれば、「利益を確保する」という『目的』のために、「売上を確保する」という『手段』を取るのです。まあ、当たり前の話ですね。

ところが、我々はいつの間にか「利益を確保する」という目的を忘れて(もしくは認識せずに)「売上を確保する」という手段のみを一人歩きさせてしまうことがあります。

これを『手段の目的化』と言います。で、この『手段の目的化』が発生すると、折角問題に対して対策を取ったのに「こんなはずじゃなかった…」という結果に終わることがあります。

ちょっと何が起こるのかいくつか例をあげてみます。

【手段が目的化することによる弊害】

<A社の場合>

A社は数年収益状況が悪く、赤字続きの会社でした。その要因が「売上高の減少」にあると考えた社長は、社内で「売上高アップ」の大号令をかけて、毎月の会議でも「売上はどうなった?」が口癖になり、売上を上げれば評価される。上げなければ怒られる。「売上が上がればOKなんだ」という風土が出来上がりました。「売上至上主義」の状態です。

その数年後…。A社の収益はどうなったか??
売上は確かに上がりました。しかし、赤字は解消されるどころか、増加しました。「こんなはずじゃなかった…」です。

なぜこんなことが起きたのか?
答えは、この会社の営業が売上高を確保するために、利益を考えず安い価格での受注を繰り返したから、また、生産を行う工場側も「売上が確保出来ればいいんでしょ?」と考えコストを全く顧みなかったから、加えて、経営陣も「売上が上がってるからOKだ」と考え、営業と工場にストップを掛けなかったからです。

この場合、本来の目的である、「収益を上げること」が認識されていれば、(売上高アップが目的化していなければ)誰かが、「おい!こんな利益じゃ、売上高上げても意味ないぞ」と言って、途中で軌道修正出来たかもしれません。

<B社の場合>

B社も収益状況が悪い会社でした。B社はA社と違い「利益」を重視していました。B社の社長の口癖は「今期も利益が出てないぞ!何とかしろ!!」でした。

そこで、B社では”会計上の利益”を出すために、毎年期末になると売れる見込みのない在庫を大量に作り、(会計上、期末を跨いだ在庫は期末棚卸として費用控除されます)利益が出たように見せてました。だから、帳簿上の利益はしっかり出てました。だから、B社の経営陣は毎期決算書を見て「前期も利益確保出来たな、よしよし」とご満悦。

その数年後…。B社はどうなったか??
倒産しました。原因は「資金繰りの悪化」です。俗に言う「黒字倒産」でした。

なぜこんなことが起きたのか?
原因はキャッシュが無くなったからです。会社というのは、帳簿上の赤字が続いても、債務超過の状態になってもすぐに潰れることはありません。しかし、キャッシュ(現金)が無くなった瞬間にどれだけ帳簿上の黒字があろうと、資産があろうと倒産します。

会計上の黒字が良しとされているのは、「会計上黒字ならキャッシュフローはプラスになるはず」という前提に立っているためです。言い換えれば、「会計上の利益を出すこと」は「キャッシュフローをプラス」にするための手段と言えます。「キャッシュフロー」が目的で、「会計上の利益」が手段です。

では、B社はどうだったのか?
B社は売れる見込みのない在庫を大量に作って会計操作してましたよね?在庫というのは、売れなければキャッシュフローを悪化させます。(作るために仕入等で現金は出ていくけど、それを換金出来ないので…)

もし、B社の誰かが本来の目的である「キャッシュフロー」に注目して、「売れない在庫増やして出した利益なんか何の意味もない!」って言っていればなんとかなったかもしれません。だけど、「利益」自体が目的化したB社ではそれは無理でした。

<C国の場合>

最後の例は会社ではなく、国です。

昔C国は国家をあげた大きな戦争をしました。島国であったC国は本土防衛のためとして、領土内にあった島々に多くの兵士を配置し、島の防衛にあたらせました。やがて、C国は次第に劣勢となり、島々に相手国が進行してきました。

もう敗戦が確実となる中、C国の司令部が部隊に出した命令は、「何としてでも島々を死守せよ!」でした。

その結果どうなったか…
防衛にあたった部隊は全滅しました。

なぜこんなことになったのか?
それは、「島の防衛」そのものが目的になっていたからです。本来であればこの場合の目的は「本土防衛」であり、「島の防衛」はその手段にすぎません。もし、この時に司令部に「あくまで目的は本土防衛だ!」という意見が(本当の意味で)強ければ、島の防衛を放棄=退却させて、全滅は避けられたかもしれません。もっと言ってしまえば、島嶼部の防衛線が占領された状態で本土を防衛するためには、降伏も仕方がないということにもなったかもしれません。

しかし、このC国はその後「戦闘行為」そのものが目的化するようになり、最悪の状態で戦争を終わらせることになります。
ちなみに余談ですが、戦争もその目的が何なのかによって悲惨さが違うと思います。

例えば、「領土」が目的の場合は、領土の進行若しくは防衛が完了した時点で、目的は達成されますし、原則として正規軍同士の戦闘になるので、悲惨さはまだましです。(ex.フォークランド紛争・中東戦争・湾岸戦争)

これが、宗教や政治的イデオロギー、民族問題などの「価値観」が絡んでくると途端に悲惨さが増加します。目的を達成するためには、相手の価値観を変えてしまうか、相手を排除するしかないので…。そうなってくると、正規軍に加えて非戦闘員が戦闘に加わってくるのでとんでもないことになります。(ex.ユーゴスラビア紛争・ルワンダ内戦・イラク戦争・ベトナム戦争・太平洋戦争)

で、一番最悪なのが「戦闘行為」そのものが目的化する場合です。こうなってくると交渉の余地がないのでもうどうしようもないです。でも、この状態自体がいきなり発生することはなく、上の2つの状態が発展する(目的に対する統制が取れていない)とこうなると考えています。(これ以上話すと、メルマガの内容が国際政治とかになってくるので、これぐらいにしときます…)

ということで、今回はここまでです。次回から『手段の目的化』を防ぐためにどうするのか?
という話をしていきます。
では・・・。

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