【MPメルマガ 第239回】<会計編>限界利益の話 その2 ~受注可否の判断基準~(2018年3月21日配信分)

こんにちは、MPCの中の人です。

気が付いたら、もう桜が咲く時期になっていました…。

では、今週もどうぞ!

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松本:「こんにちは~」

内山:「あ、松本さん。こんにちは。あれ?他の2人は?」

松本:「2人とも少し遅れてくるみたいです」

内山:「ああ、そうなんですね」

松本:「あれ?内山さん。その書類は何ですか?」

内山:「ああ、これ?これは新しいお客さんに提出する見積です」

松本:「おお、新しいお客さんからの仕事の依頼ですか?いいですね~」

内山:「それが、結構悩ましいんですよ」

松本:「え?何がですか?」

内山:「コストを計算してみたんですけど、お客さんから提示された価格と折り合わなくて…どうしても人件費分が少し足が出ちゃうんですよ」

松本:「あ~、なるほど。赤字になってしまうわけですね」

内山:「そういうこと。だからお断りしようかどうか迷ってる」

松本:「折角のチャンスだから悩ましいですね…。2人が来たら相談したらいいですよ」

内山:「うん。そのつもり」

【受注の可否はどうやって判断するか?】

岡崎・中の人:「こんにちは~」

松本:「あ、来ましたよ!」

内山:「お~、2人ともお待ちしておりました~」

岡崎:「え?何この歓迎ムード」

中の人:「これは何かありますね」

内山:「そうです。何かあります。実は…」

岡崎:「なるほど、そういうことか」

中の人:「よくある話ですね。とりあえず内山さんコストを計算した資料見せてもらっていいですか?」

内山:「はい。これです」

中の人:「どれどれ…。まず、売価が1,000円。原価は、材料費が500円、外注費は無し、諸経費が200円で人件費が400円ですか…。なるほど、これで原価計算すると、コストが500円+200円+400円=1,100円になって確かに赤字ですね」

岡崎:「これ、コストもう下げられないの?」

内山:「現状ではこれが精一杯です…」

中の人:「そうか…。確認ですけど、この製品に掛かる変動費って材料費のみですか?」

内山:「そうです。諸経費は諸々の細かい固定費なので、変動費は材料費の500円のみです」

中の人:「もう一つ確認ですけど、今回の製品を受注することによって、固定費が増えたりします?設備を買ったり、人件費が増えたりはしますか?」

内山:「いや、今空いている設備で生産する予定ですし、人も比較的余裕があるので、固定費は増えないと思います」

中の人:「追加の固定費は無しか…。岡崎さん。どう思います?岡崎さんだったらどうします?この仕事断りますか?」

岡崎:「ん?俺だったら受けるよ」

内山:「え?そうなんですか?」

中の人:「私も同意見です。内山さん。この仕事引受けて下さい」

松本:「何でですか?赤字の仕事ですよ」

【限界利益が黒字なら受注してよし】

岡崎:「確かに営業利益では赤字だけど、限界利益は1,000円-500円=500円で黒字になってるだろ?だったら受注してOKだよ」

松本:「だけど、それじゃ会社の利益が…」

中の人:「減ると思うでしょ?じゃあ、本当に受注したら利益が減るのか、受注した場合と受注しない場合で比較検討してみましょう…。下の表を見て下さい。

—————–受注する場合/しない場合の比較表————————-

受注する       受注しない
売上            1,000円          0円
材料費(変動費)      500円           0円
限界利益           500円            0円
人件費(固定費)      400円          400円
諸経費(固定費)      200円          200円
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差引                ▲100円         ▲600円

文字がずれたりして見にくかったらすみません。さて上の差引の金額を見て、受注する場合としない場合、どちらがお得ですか?」

内山:「これって”受注する場合”は100円の赤字、”受注しない場合”は600円の赤字ってことですよね?」

岡崎:「そう」

内山:「だとしたら、”受注する”がお得です。だけど、どうしてこんなことに?」

中の人:「ポイントは”固定費”です。松本さん。固定費ってどんな特徴がありましたか?」

松本:「『売上や生産数が増えようが減ろうが変わらない費用』のことです」

中の人:「そう。言い換えれば『何もしなくても発生する費用』のことです。ということは、受注をしようがしまいが、この場合、人件費+諸経費の600円は発生します。受注をしない場合は、この600円がそのまま赤字として垂れ流されます。だけど、受注をしていれば限界利益として稼いだ500円を固定費の回収に充てることが出来るので、赤字額は600円-500円=100円になります」

内山:「確かにそうだ…」

岡崎:「内山君が、”受注しない”って決断をしたときに、人をクビにして固定費の400円を0円にするなら話は別だけど、普通はそうじゃないだろ?だとしたら、少しでも限界利益を稼いで固定費の回収に充てた方が合理的なんだ」

中の人:「最初に内山さんがやっていたように営業利益を受注可否の判断に使うことは別に間違いではないです。営業利益が黒字なら限界利益も必ず黒字ですからね。ただし、ここぞという経営判断をするときには限界利益で判断をすることもあります」

【限界利益で受注判断をするとき】

内山:「その”ここぞ”っていうのはどんなときですか?」

中の人:「まず。『参入価格で新規参入するとき』です。新規参入の場合って戦略的に価格を下げて市場に食い込もうとするケース多いですよね?こういう場合は、『営業利益は赤だけど、限界利益は出てるので、低い売価でも受注する』って判断をすることが多いです」

内山:「今回のうちの場合もそうですね」

中の人:「そうです。また、『人や設備が遊んでいる状態』のときも限界利益を基準に受注判断をします」

岡崎:「遊ばせているぐらいなら、1円でも限界利益を稼いで費用を回収した方がいい。って考え方だな」

中の人:「そう。この状態の事を『手余りの状態』と言ったりします。ちなみに逆は『手不足状態』と言うので、覚えておいて下さい」

岡崎:「そういえば、お前開業当初はこの考え方で仕事受注してたよな?」

中の人:「そうですね。開業当初は暇をしてたので、『変動費の交通費が賄えればいくらでもいいですよ』なんて言って仕事受けてましたね」

松本:「今は暴利をむさぼってる?」

中の人:「適正な価格で承っております!あと、もう一つ限界利益基準で判断したほうが良い場合があります」

内山:「どんな場合ですか?」

中の人:「会社の経営が苦しいときです。そういう場合は『今は1円でもお金が必要だから、限界利益が出てるなら仕事引受けて』ってよく言いますね」

【限界利益で受注判断をするときの注意点】

中の人:「ということで、今回は『限界利益が出ていれば受注してOK』という話をしてきましたが、最後に一つ注意点です」

内山:「はい」

中の人:「限界利益での受注判断は戦略的にやって下さい」

内山:「戦略的?」

岡崎:「安く出来るからといって安易に値引きはするなってこと」

中の人:「そういうことです。『営業利益は赤だけど、限界利益が出てるからいいや』っていう考え方で安易に安い売価での受注を繰り返していると、いずれ経営が苦しくなります」

岡崎:「利益率が低い仕事ばかりを受けることになるから当然だな」

中の人:「そうです。『限界利益が出ているからOK』という判断はあくまで次善の策であって、高い売価で売れるならそれに越したことはないわけです。だから、限界利益を基準にした受注の判断は総合的・戦略的によく考えて行って下さい」

内山:「分かりました」

中の人:「限界利益についてはもう少し話すことがあるので、次回も限界利益の話です。次回もお楽しみに!」

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