こんにちはMPCの外山です。

先週紅葉が見ごろなので、強引にお休みを取って紅葉狩りに行って来ました。
心は癒されましたが、仕事は溜まりました…。よし!頑張るぞ!!

前回から始まったお遊び企画「時代劇で経済を勉強しよう!」
今回は第2回目です。今回は普段我々が使っているお金の話です。

【小判を噛んでも意味がないかも…】

江戸時代の貨幣と言えば小判です。小判1枚で1両でした。

そして、時代劇で小判と言えば。小判をガリって噛んで…
「これは!贋金だ!!」って言っているシーン見たことないですか?

時代劇ではよくありますよね?あれ何で噛んでいるのかというと、
「小判は金で出来ていて柔らかいので、噛んだら傷がつくから」らしいです。
(諸説あって、ほかにも熱伝導説やメッキ剥がしてる説もあります)

が!ここで一つ言っておきましょう!!

江戸時代の小判(特に中期以降)は噛んでも傷などつきません!(と思います)
なぜなら、小判には銀などの金属が混ぜられていて純金ではないからです!!
(純金なら軽く噛んだら傷が付きますが、他のものが混ざっていると硬くなるので
傷がつきにくくなります)

江戸時代の小判の金の含有率は初期で8割、中期以降になると6割程度です。

あれ?でもここで不思議なことに気が付きませんか??
小判は「金で出来ている(金の含有率が高い)」から1両として通用する」んですよね?
そこに混ぜ物しちゃったら通貨として通用しなくなっちゃいますよね??

でも、ちゃんと幕府が作った小判ならきちんと1両として通用していました。これはなぜでしょう?

【1万円はなぜ1万円なのか?】

同じことが今私たちが使っているお金でも言えます。
例えば1万円札。これよく考えてみて下さい。これ何で1万円の価値があるんですか?
よく見てみたら諭吉の似顔絵が書いてあるただの紙切れですよ。

江戸時代はまだいいですよ。少なからず金が入っていたんですから。
ところが、1万円札に至ってはただの紙です。原価は数十円(正確には30円)の紙切れです。
江戸時代よりもおかしいですよ!インチキです!!インチキ!!!

でも、それでも私たちは1万円札を1万円として使っています。江戸時代の人は金の含有量が
半分ぐらいでも1両として小判を使っていました。それで通用していました。
なぜそれで通用するのか?それは…。

「国が価値を保証してくれているから」です。

江戸時代なら幕府が「これは1両だ!」と保証してくれているから、
現代なら日本国政府が「これは1万円だ!」と保証してくれているから、私たちは一見インチキのようなものを
貨幣として使えているわけです。

このようなお金を「信用貨幣」と言います。

現在我々が使っている貨幣はこの信用貨幣です。1万円札を例に出しましたが、
100ドル札も100ユーロ札も同じです。現在の経済の大前提ですね。

この信用貨幣という仕組みが江戸時代にはすでに成り立っていたわけです。
そして、江戸時代の人は今の私たちと同じようにその仕組みを当然のものとして受け入れていたわけです。

ところが、幕末にこの仕組みを受け入れられない(理解出来ない?)やつが現れました。

【信用貨幣にいちゃもんを付け出したハリス】

1853年。浦賀沖にペリー率いる黒船がやってきました。
鎖国政策を取っていた江戸幕府は大騒ぎ。ここから、外国との開国交渉が始まり
日本は開国の道をたどることはご承知の通りです。

このとき、日本との通商交渉のためにやってきたのが初代駐日公使タウンゼント・ハリスです。
彼は幕府と交渉の末、日米修好通称条約を結びます。

ハリスさんは敬虔なキリスト教徒でとてもいい人だったようです。
が!彼は一つとんでもないことを幕府に言い出します。それが、為替レートのことです
外国との貿易を行うのですから、当然為替レートは決めないといけないです。
その交渉の際に、ハリスさんはとんでもないことを言い出します…。

ハリス:「ジャパンで使っている、”1リョウ”っていうお金だけど、これって銀何グラム分?
    (当時貿易には”銀”が使われていたので、為替レートは銀を基準にして決められます)

幕府:「それは、一両は一分銀4枚分でござる。アメリカの単位に直すと一分銀が約9グラムであるから
    一両は9グラム×4で36グラムにござる。貴国の貨幣”ドル”も1ドルで銀9グラムほどであったな。
    さすれば、1両は4ドルとしてはいかがか?」

ハリス:「オー、チョットマッテクダサーイ。ミーたちがユーたちのお金を調べたら、ゴールドは半分ぐらいしか
     入って無かったよ!半分混ぜ物ね!ユーたちのお金には4ドルも価値は無いよ!!原価で言ったら2ドルよ!!!」

幕府:「しばし待たれよ!確かに金の含有量は半分程度でござる。しかしながら、日本では貨幣の価値を
    幕府が保証している故、金の含有量は少なくても銀4枚分と同じ価値があるとしているのである!」

ハリス:「ユーたちは何を言っているの?そんなことをバクフは言っているの??混ぜ物をして本来の価値と違うものを
     国民に使わせるなんてインチキじゃない!ユーたちサムライは嘘を付いているのか?ライヤーか??」

かなり脚色をしていますが、こんな感じの交渉が行われました。そして、力関係でアメリカ側に押し切られます。

さて、一見するとハリスさんが言っていることももっともらしく感じられますね。でも、これを現代に置き換えると…。

ドナルド:「シンゾー。ミーはアメリカとジャパンの為替レートは見直すべきだと思うのだが?」

シンゾー:「今のレートは適正でないと考えているんですか?その根拠は??」

ドナルド:「ユーたちが使っている1万円札だけど、これただの原価0.5ドルぐらいの紙切れだから本来は0.5ドルの価値しかないね。
      だから、10,000÷0.5で1ドル=20,000円ぐらいが適切だと思うね!」

シンゾー:「ちょっと待って!確かに1万円札は紙切れだが、日本政府が価値を保証しているから1万円の価値はある!!」

ドナルド:「ユーは何を言ってるの?そんなことをジャパンのガバメントは言っているの??ただの紙切れに価値がある
      なんて言って国民に使わせるなんてインチキじゃない!ユーは嘘を付いているのか?ライヤーか??」

こんなことになります。とんでもないことです。1ドル=20,000円です。超円安ですよ!そんなことになったら
第一次世界大戦後のドイツとか近年のジンバブエ級のハイパーインフレになって日本経済は崩壊ですよ!
でも、安心してください。現代では信用貨幣の考え方が通用するので、こんなことにはなりません。

実際ハリスが信用貨幣の考え方を理解出来ていなかったのか、それとも、理解していながら確信犯として交渉をして
いたのかは分かりませんが、一つ言えることは、江戸時代には既に現代と同じように
「お金は国がその価値を保証しているから通用する」って言う信用貨幣の考え方が取り入れられていたってことです。

そして、江戸時代には信用貨幣の考え方を理解して、現代の経済学の視点から見ても評価出来る政策を行った政治家と
経済が全く分かっていなかったために、間違った政策を行ってしまった政治家がいました。

次回からは4人の政治家の経済政策についてお話します。
ちなみに、次回は時代劇で有名なあの人が出てきます。

では・・・。

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